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バックナンバー <Vol.15>

Vol.15 No.4 2012 Winter
(学術研究論文)国際拠点空港の余剰発着枠の活用方法に関する分析
−内際配分の違いが利用者便益に与える影響−
執筆者:熊澤将之、西内裕晶、轟 朝幸
2010年の羽田空港の再国際化により,2014年以降の羽田空港国際線発着枠は年間9万回に拡大する.一方,成田空港においても発着能力を年間30万回まで段階的に拡大される予定であり,首都圏の空港容量は今後増加する.本研究では,成田空港における国内線拡充・国際線多頻度運航が地方空港からの内際乗継旅客および関東甲信地方の旅客の利便性向上に与える影響を検討し,利便性向上に寄与する成田空港新規発着枠の利用方法を検討した.また,将来の首都圏空港の運用シナリオを想定し,成田空港で国際線多頻度運航を行っても発着枠には余裕があり,国内線拡充は十分に可能であることを示した上で,運用シナリオによって成田空港の国際線拡充が利用者便益に与える影響を分析した.
Vol.15 No.4 2012 Winter
(学術研究論文)米国航空産業における合併効果と低費用航空会社の運賃設定行動
−デルタ航空・ノースウエスト航空のケース−
執筆者:朝日亮太
本稿は,2006年から2009年までの米国航空産業のデータ(サンプル数18,779)を用いて,2008年に行われたデルタ航空とノースウエスト航空の合併が航空会社の運賃に及ぼす影響について分析するものである.分析手法として,需要関数と疑似供給関数の同時推定を行っている.分析の結果,デルタ航空もしくはノースウエスト航空の運航しているいくつかの路線において航空会社の運賃は合併により低水準になることを示した.この結果はLCCからの競争圧力により生じた可能性がある.
Vol.15 No.4 2012 Winter
(学術研究論文)サプライチェーン時代における港湾の経営
−公企業化の戦略的意義と枠組み−
執筆者:井上聰史
港湾を取り巻く環境はサプライチェーン・マネジメントの本格化により構造的に変化し,海陸輸送の結節機能に主眼を置く伝統的な港湾経営は多くの限界に直面している.本研究は,こうした問題点を分析し,新時代の港湾経営がロジスティクス・システムの拠点形成へと脱皮すべきことを提示したうえで,その基本的な戦略と経営組織が満たすべき要件を考察した.とくに新しい港湾経営の有力な組織形態として公企業化に着目し,欧州の港湾の実態調査を行い,意思決定や財務運営の自立性さらに事業の多角性などを総合的に評価し,公企業化の戦略的意義を確認するとともに課題を抽出した.さらに我が国の港湾政策への示唆をまとめた.
Vol.15 No.4 2012 Winter
(学術研究論文)都市鉄道の遅延連鎖予測のためのエージェントシミュレーション
−田園都市線および半蔵門線を対象に−
執筆者:岩倉成志、高橋郁人、森地 茂
相互直通運転が行われ,遅延が発生しやすい路線環境にある東急田園都市線と東京地下鉄半蔵門線を対象に,遅延の連鎖のメカニズムを分析し,列車ごとの遅延時間をマルチエージェントモデルで再現し,遅延対策効果を予測する技術を開発した.中核となる駅間走行時間推計モデルと乗降時間推計モデルの2つのサブモデルの現況再現性は良好な結果を得ることができた.サブモデルを統合したモデルの再現精度は,再乗車旅客の行動の再現に未だ課題があるものの一定の精度は得られたものと考える.またいくつか遅延対策の効果を予測した結果,示唆的な情報を得ることができた.
Vol.15 No.4 2012 Winter
(学術研究論文)国外旅行入国者数を用いたアジア諸国の相対的魅力度推定
−目的地選択率による逆解析手法の適用−
執筆者:古屋秀樹
本論文は,アジア地域を対象とした国際旅行流動についてUNWTO データを用いて分析をしたものである.はじめにアジア諸国における居住国・国籍による国外旅行OD データの整備を行い,国外旅行者数の特性を明らかにしている.さらに,到着国・地域の相対的魅力度と2地域間の交通抵抗を考慮したハフモデルによって流動量が表現可能と仮定し,目的地選択率実績値と推定値との誤差二乗和最小化によって国ごとの相対的魅力度を推定した.推定された相対的魅力度による国・地域間の相対的な大小関係,トレンドの把握に加え,経済危機による事象と相対的魅力度との関係性把握,到着国・地域のポジショニングを明らかにできた.
Vol.14 No.3 2011 Autumn
(学術研究論文)AI Demand Systemモデルによる交通需要弾力性推定による政策分析
執筆者:小池淳司
わが国の多くの乗合バス事業者は,厳しい経営状況下にあり,中央政府および地域自治体は,これらの事業者に対して補助金を与えて事業を維持・運営している.乗合バス事業をより効率的に運用するには,当該事業を含む総合的な交通政策を実施することが必要である.そのため,本研究では,乗合バスの需要量と乗合バス・鉄道・自家用乗用車,タクシーとの間の自己価格,交差価格,消費支出の各種弾力性を AIDSモデルのSURE法により推定する方法を提案し,既存の統計データを用いて,全国レベルと日本を9地域に分割した地域レベルでの弾力性を求めた.この実証分析の結果から,日本の地域別の乗合バス需要の特性が明らかになり,乗合バスを主軸とした交通機関の政策のあり方に対して交通政策への提言を行った.
Vol.14 No.3 2011 Autumn
(学術研究論文)日本の国内航空旅客市場における輸送密度の経済性
執筆者:大橋忠宏
本研究では,都府県及び北海道4ゾーンの50ゾーン間の純流動等のデータを利用して,先行研究で指摘される輸送密度の経済性を考慮した枠組みの下で国内航空旅客市場について需給曲線を同時推定した.推定の結果,多くの先行研究で指摘/考慮される供給側の輸送密度の経済性についてはその存在が統計的に有意な結果として確認され,航空旅客市場を分析する上で当該経済性を考慮することの重要性が示される.限界費用関数で考慮される羽田や伊丹/関空,新千歳など主要空港ダミー変数の係数は正の場合が多く,主要空港は地方管理空港に比べて相対的に空港使用料の高さや混雑などが反映された結果である可能性が指摘される.
Vol.14 No.3 2011 Autumn
(報告論文)ロシア連邦サハ共和国の冬道路と地球温暖化の影響
執筆者:奥村 誠、河本 憲、サルダーナ・ボヤコワ
ロシア連邦サハ共和国では,冬季に河川や湖沼が凍結し,その上を冬道路として利用している.しかしサハ共和国は地球温暖化の影響を強く受ける地域のひとつで,IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第4 次報告書では今後100年間で5〜6℃の気温上昇が予測されており,この冬道路の利用可能性への影響が懸念される.本研究では,現地のヒアリング調査や冬道路を管理するための基準書を基に,サハ共和国における冬道路の建設,管理,利用の実態について明らかにした.次いで河川の氷と大気との間の熱のやり取りをモデル化し毎日の氷の厚さと積載可能重量の計算を行い,気温上昇が起きた時の使用可能日数を求めることにより,温暖化による冬道路への影響に関する分析を行った.
Vol.14 No.2 2011 Summer
(学術研究論文)クルーズ客船観光の特性と寄港地の魅力度評価の試み
−クルーズ客船旅客を対象とした階層分析法の適用−
執筆者:柴崎隆一、荒牧 健、加藤澄恵、米本 清
近年,世界のクルーズ人口は順調に増加しており,今後の団塊世代の大量退職に伴うマーケットの拡大や,運航頻度は低いものの,入港時の経済効果やブランド的価値は,地域経済の活性化策としても注目されている.本研究では,クルーズ客船寄港地の魅力度を定量的に評価することを目標として,旅客に対して実施したアンケート結果をもとに,クルーズ経験回数の違いによる旅客の嗜好を整理するとともに,階層分析法(AHP)による寄港地の魅力度の評価を行った.また,AHP の結果を利用し,より簡便に魅力度評価を行う方法を提案し,これに基づき国内外の港湾を対象として魅力度ランキングの作成を試みた.
Vol.14 No.2 2011 Summer
(学術研究論文)環境施策が都市交通システムのエネルギー効率性に与える影響の分析
−DEA(データ包絡分析)とMalmquist 指数によるアプローチ−
執筆者:吉野大介、藤原章正
世界各国で地球温暖化等の環境問題への対応の必要性が高まっている社会的背景のもと,各都市の運輸エネルギー消費構造の多様性を考慮した上で,実現可能な運輸エネルギー消費削減目標量を設定することは,環境的に持続可能な交通(EST)の実現において不可欠なプロセスである.本論文では,既存の環境効率性評価モデル(EE model)を活用することで,世界各都市の交通システムのエネルギー効率性を算出し,各都市の都市交通形態に適合した運輸エネルギー消費量の目標値を設定する.更に,DEA(データ包絡分析)及びMalmquist 指数を用いることで,エネルギー効率性の観点から各都市において環境負荷抑制を推進する上で効果的な環境施策のシナリオ設定方法の提案及びエネルギー効率性に与える影響の分析を行う.
Vol.14 No.2 2011 Summer
(報告論文)都市鉄道の遅延に対する利用者の認知状況と交通行動への影響
−東京圏を対象として−
執筆者:金子雄一郎、曽山禎彦、加藤浩徳
本論文は,都市鉄道の遅延に関する利用者の認知と行動への影響を調査し,その原因と政策への示唆とを検討するものである.まず,東京圏の鉄道利用者を対象に,日常的な鉄道遅延に対する意識と行動に関するアンケート調査を実施した.その結果,多くの利用者が短時間の遅延の頻発を認知していること,また,遅延を意識した行動をとっていることが分かった.次に,得られたデータを用いて切断回帰分析を実施し,乗車時刻,性別,遅延を意識した行動の有無などが到着余裕時間の影響要因であることを示した.最後にこれらから,効果的な遅延防止対策は,利用者の出発時刻の変化を通じて,人々の朝の余暇時間の増加に寄与する可能性を示した.
Vol.14 No.2 2011 Summer
(報告論文)モスクワ地下鉄の高頻度運行管理
−我が国首都圏鉄道における列車遅延対策への示唆−
執筆者:仮屋ア圭司、日比野直彦
我が国の首都圏鉄道は輸送力増強や利便性向上のため,高密度ネットワーク,高頻度運行,相互直通運転等の施策を実施してきたが,その副作用として朝ラッシュ時に慢性的な列車遅延が発生し,新たな課題を抱えている.一方で世界屈指の輸送量を誇るモスクワ地下鉄は,遅延が問題化することなく90 秒間隔の高頻度運行を実現している.本報告では,まずモスクワ地下鉄の概況と現地調査に基づく列車運行の現状を報告し,旅客流動と列車走行の視点から,高頻度運行を可能とする施設や運行管理の実態と仕組みについて現状分析と考察を行う.最後にこれらの事例から,我が国首都圏鉄道の遅延解消に向けた施設整備および運行管理に対する示唆を述べる.
Vol.14 No.1 2011 Spring
(政策研究論文)英国と米国カリフォルニア州の交通計画体系における都市間交通と気候変動の考慮
執筆者:鈴木 温、泊 尚志、屋井鉄雄
近年,欧米諸国では気候変動問題に対応するため,交通計画体系の改善や気候変動の考慮を強化している.本研究では,英国と米国カリフォルニア州の交通計画体系における都市間交通の位置付けと,その中で気候変動への影響がどのように考慮されているかを把握した上で,都市間交通と気候変動の考慮の面から,今後の交通計画制度のあり方について考察を行った結果,1)複数の交通モードを統合した広域交通ネットワークの方針や計画の策定,2)法的な要求に基づく上位計画における気候変動への言及,3)環境影響評価手続きにおける気候変動考慮の義務化,4)分野間,地域間の責任や負担の分担の明確化等が必要であると示唆を得た.
Vol.15 No.3 2012 Autumn
(政策研究論文)都市開発による鉄道駅の混雑と施設容量に関する研究
執筆者:鈴木章悦
東京都心部における容積率規制緩和に伴う開発により,当該地区の従業人口が急速に増加することが予測されている.この通勤旅客の集中と,鉄道駅の現状の施設容量および整備速度の不整合が,混雑,安全面,定時性など様々な点で大きな問題となることが考えられる.本研究は,都市開発に対応した適切な鉄道駅整備がなされるために,今後,混雑が問題となる駅および箇所を定量的に算出することを目的としたものである.分析結果より,@各鉄道事業者の設計容量の基準には差があり,必ずしも高くないこと,A現時点においても設計容量を上回る施設が多数あること,B施設許容量および待ち行列が解消するまでの時間と流動量の関係から対応すべき箇所があることを明らかにしている.
Vol.15 No.3 2012 Autumn
(学術研究論文)米国におけるLCC対FSCの競争形態*
−クロスセクションデータを用いた推測的変動の計測−

執筆者:村上英樹
本稿は米国内LCC市場の発展段階である1998年のデータを用いて,LCCとFSCの競争形態を,参入企業数ごと,並びに参入形態ごとに推測的変動を用いて分析した.これによると,参入企業数と市場シェアに拘らずクールノー型競争が数多く観察されることが判明した.また,LCCが基幹空港に参入する場合と第2空港に参入する場合とでは,競争形態が異なり,棲分けた場合LCC・FSC共に相手の競争の程度を楽観視する.しかし全般的にFSCはLCCの競争行動を警戒する傾向がある.政策インプリケーションとしては,産業全体を持続させるのであれば,LCCとFSCを棲み分けさせ,また経済厚生の増大を追及するのであれば,LCCを基幹空港に参入させることが施策として考えられる.
Vol.15 No.3 2012 Autumn
(報告論文)都市鉄道の整備手法の活用促進方策についての研究
−都市鉄道等利便増進法に着目して−

執筆者:横田 茂
近年,都市鉄道の政策課題としては,これまでの「量的整備(輸送力増強)」に加え,「質的整備(利便性向上)」の重要性も指摘されるようになり,また,再開発等による都市構造の変化によって生じる新たな問題も発生している.本研究では,これらの政策課題の解決に向けて,都市鉄道等利便増進法に注目し,同法の活用促進に向けた研究を行った.具体的には,同法の適用事業の関係者(地方自治体,整備主体,営業主体)に対するヒアリング調査結果から得られた意見を踏まえて,制度全般の視点ならびに各関係者の視点から,制度の使いやすさを向上させるための課題を整理した上で,それらの課題解決に向けた検討ならびに提言を行った.
Vol.15 No.3 2012 Autumn
(報告論文)整備新幹線財源の持続可能性に関する法制的問題点の検討
執筆者:楠木行雄
整備新幹線建設の財源は,国費,地方費及び鉄道運輸機構財源であるが,法改正による措置を踏まえて,新規区間の着工方針の決定に際し,機構財源が既設新幹線売却収入からJR への貸付料に切り替わる.しかし,約3兆円の建設費を賄うため,財源を細く長く使うので,建設期間が長期化し,批判が出ている.また,貸付料から拠出する貨物調整金に肥大化の恐れもある.そこで,並行在来線対策として貨物調整金が生まれた経緯を分析し,貸付料を減少させない方策を提案する.また,新しい建設財源を求める動きにも備えるため,貸付料の期間の延長,機構の財政的余裕の活用,貸付期間終了後の新幹線施設の売却など新しい財源対策を提案する.
Vol.15 No.3 2012 Autumn
(報告論文)仮想的市場評価法を用いた鉄道駅改良による非市場財的便益の計測
−駅・まち一体改善事業による整備駅を対象として−

執筆者:金子雄一郎
本研究は仮想的市場評価法(CVM:Contingent Valuation Method)を用いて,鉄道駅の改良による安全性や快適性の向上などの非市場財的便益を計測したものである.具体的には,近年,駅・まち一体改善事業によって整備された3つの駅の利用者を対象にアンケート調査を実施し,駅改良による種々の効果に関する認識,改良に対する支払意思額とその項目別内訳などを把握した.その結果,利用者は多様な効果を認識していること,駅改良に対する支払意思額(追加負担)は片道1回当たり6.88円〜8.13円であり,そのうち安全性や快適性の向上の割合は35%〜56%と比較的高い割合であることが分かった.これらの結果を基に3つの駅の非市場財的便益を計測した結果,評価期間30年の場合で168百万円〜365百万円となることが示された.
Vol.15 No.2 2012 Summer
(学術研究論文)鉄道サービスにおけるストレス軽減効果の検証
執筆者:石田眞二、武田 超、白川龍生、鹿島 茂
本研究では,人間の心拍変動から読み取れるストレスに着目し,RRI データを用いて鉄道サービスにおけるストレス軽減効果を定量的に評価した.ストレス軽減効果を期待する施策として,女性専用車両の乗車時とノイズキャンセリングシステムの使用時の2 つを評価対象として研究を進めた.ストレスの定量的評価手法には,RRIの中央値を用いたストレス総量の算出とローレンツプロット面積法を用いたストレスの変動特性についての検討を行った.その結果,女性専用車両とノイズキャンセリングシステム使用時のストレス軽減効果について,生体が被るストレス総量や強度の観点より定量的に推定することができた.
Vol.15 No.2 2012 Summer
(報告論文)貿易統計の不整合問題−既存研究の整理と数量データを用いた調整−
執筆者:小坂浩之、布施正暁、鹿島 茂
本稿は,貿易統計に存在する不整合問題について検討する.貿易統計の不整合問題は,ある国が公表する輸入額と,それに対応する相手国が公表する輸出額が一致しない問題である.この問題は,様々な研究者や組織によって古くから検討が続けられているが,貿易額に関する分析が多く,貿易数量に関する分析は少ない.本稿は,貿易統計の不整合問題に関するレビューを行うと共に,アジア地域の貿易統計データを使用し,特に数量データに着目して不整合問題の特性把握を行った.その結果,数量データを活用することで,不整合問題を調整するための有益な知見が得られることを示している.
Vol.15 No.2 2012 Summer
(報告論文)バス事業規制区分のあり方 −英国の規制区分を踏まえて−
執筆者:山本雄吾、森田優己、蛯谷憲治
わが国の営業バス事業は,規制制度上,乗合と貸切に区分される.しかし昨今,この区分がバス事業の実態に合致せず,様々な矛盾が生まれている.ここで英国の規制制度をみると,英国では乗合と貸切の区分がなく,域内バスとそれ以外の区分である.そして域内バスでは,サービス水準等についての公的関与(調整)が見られるが,それ以外(都市間バスおよび貸切バス)については,基本的に市場競争に委ねられている.わが国においても,多くの場合営利事業としては運営が困難で地域にとって唯一の公共交通である域内バスと,営利事業として運営可能で市場競争が存在する都市間バスを規制制度上区分し,各々に相応しい施策を考えるべきであろう.
Vol.15 No.1 2012 Spring
(報告論文)関西3空港の統一的運営の法制的問題点の検討
執筆者:楠木行雄
関西3空港問題は,関空伊丹法が国会で成立したことで,解決に向けて動き出した.しかし,この法律は, 2空港を経営統合し,これにより関空の経営を改善して本来の機能を発揮させようとするものであるが,航 空需要の拡大がないと,関西3空港問題をどこまで解決できるかは不確定要素が多い.3空港問題は,ま ず同法が予定するPFI事業者による2空港の運営が順調に動いてからのちの段階の問題であり,その段階 まで見通して考察する必要がある.その場合,3空港の最大活用のための統一的運営を目指した神戸空 港の統合には法制的難問が多い.関西広域連合による実施についても同様である.これらの経緯を追 い,法制的に分析し,問題点を指摘する.
Vol.15 No.1 2012 Spring
(報告論文)バルクキャリアの入港喫水を増加させるUKC予測・管理手法の提案
執筆者:赤倉康寛、瀬間基広
ドライバルク貨物を輸送するバルクキャリアが急激に大型化してきているが,我が国のバルク貨物輸入港 湾の多くは高度成長期に整備されており,この流れに対応できていない.平成23年5月末に国際バルク戦 略港湾が選定され,今後整備が進められることとなるが,東日本大震災の復旧・復興が優先される中では, 整備完了までにはある程度の期間を要することとなる.そのため,整備完了までの間,既存施設において, 安全性に支障がない範囲で,可能な限り大型のバルクキャリアを受け入れる必要がある.本研究では,以 上の状況を踏まえ,潮位を有効に利用し,バルクキャリアの入港喫水を増加させるUKC予測・管理手法を 提案する.
Vol.15 No.1 2012 Spring
(報告論文)東日本大震災後の東京電力管内電力需要の定量分析
執筆者:兵藤哲朗
東日本大震災により,東京電力および東北電力管内の電力供給能力が著しく低下し,電力需要の高い2011 年夏期には,政府による節電要請が下され,産業界や市民生活にも大きな影響を与えた.節電運動の一 環として,時刻別の電力需要が公表されていることから,本分析では,節電実態について定量分析を行い, その効果を明らかにすることを試みる.具体的には,気温と電力需要の相関が極めて高いことから,時刻 別の電力需要を推計する重回帰モデルを推定し,震災影響がなかった場合の電力需要を推計する.その 推計値と,実績値を比較することにより,需要量減少の特性を考察した.結果から,ピーク時期(7・8月)で は,当初の予定以上の15%を越える節電効果が認められた.またピーク分散効果についても,時刻別推 計値の変動係数を算出することにより,その実績を確認することができた.

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