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バックナンバー <Vol.14>

Vol.14 No.4 2012 Winter
(学術研究論文)地域交通と住民の幸福
−「アマルティア・センの潜在能力」を反映した地域交通システムの評価−
執筆者:佐々木公明、徳永幸之
アマルティア・センは,人が所有する財とその特性を用いて人は何をなしえるか,つまり「機能」を考察しなければ,「福祉」を評価することはできないと主張する.地域交通を評価するときも,そのシステムの「機能」と「機会」をセットで考える「潜在能力アプローチ」が必要である.例えば,立派な自動車道路があっても,高齢者,病人,自動車を保有しない人,運転免許を持たない人たちの幸福度あるいは福祉に及ぼすその効果はゼロに近い.本稿では,アマルティァ・センの「潜在能力」アプローチを反映させるように,住民諸活動満足度調査結果に基づき,住民の幸福の視点から地域交通システムを評価する試みを行う.
Vol.14 No.4 2012 Winter
(学術研究論文)交通インフラ効果のモデル分析
−全国9地域間産業連関モデルを用いて−
執筆者:柴田つばさ、小坂弘行
本研究では,1965年から2000年の5隔年8時点の全国9地域間産業連関表から多地域多部門モデルを構築し,我が国の基幹的な3つの高速交通インフラ(高速道路,高速鉄道,航空)の代表路線を対象として,それらの整備の進展が地域経済や産業立地にどのような影響をもたらしてきかについて定量分析を行った.これにより,今日に至る日本の高速交通インフラ整備は各地域に経済成長をもたらしたが,その恩恵は大都市圏よりも地方地域にあったこと,今日の地域問題である地方圏から大都市圏へ人の流出,大都市圏の経済の集中を生みだすことにもつながったことを説明することができた.
Vol.14 No.3 2011 Autumn
(学術研究論文)AI Demand Systemモデルによる交通需要弾力性推定による政策分析
執筆者:小池淳司
わが国の多くの乗合バス事業者は,厳しい経営状況下にあり,中央政府および地域自治体は,これらの事業者に対して補助金を与えて事業を維持・運営している.乗合バス事業をより効率的に運用するには,当該事業を含む総合的な交通政策を実施することが必要である.そのため,本研究では,乗合バスの需要量と乗合バス・鉄道・自家用乗用車,タクシーとの間の自己価格,交差価格,消費支出の各種弾力性を AIDSモデルのSURE法により推定する方法を提案し,既存の統計データを用いて,全国レベルと日本を9地域に分割した地域レベルでの弾力性を求めた.この実証分析の結果から,日本の地域別の乗合バス需要の特性が明らかになり,乗合バスを主軸とした交通機関の政策のあり方に対して交通政策への提言を行った.
Vol.14 No.3 2011 Autumn
(学術研究論文)日本の国内航空旅客市場における輸送密度の経済性
執筆者:大橋忠宏
本研究では,都府県及び北海道4ゾーンの50ゾーン間の純流動等のデータを利用して,先行研究で指摘される輸送密度の経済性を考慮した枠組みの下で国内航空旅客市場について需給曲線を同時推定した.推定の結果,多くの先行研究で指摘/考慮される供給側の輸送密度の経済性についてはその存在が統計的に有意な結果として確認され,航空旅客市場を分析する上で当該経済性を考慮することの重要性が示される.限界費用関数で考慮される羽田や伊丹/関空,新千歳など主要空港ダミー変数の係数は正の場合が多く,主要空港は地方管理空港に比べて相対的に空港使用料の高さや混雑などが反映された結果である可能性が指摘される.
Vol.14 No.3 2011 Autumn
(報告論文)ロシア連邦サハ共和国の冬道路と地球温暖化の影響
執筆者:奥村 誠、河本 憲、サルダーナ・ボヤコワ
ロシア連邦サハ共和国では,冬季に河川や湖沼が凍結し,その上を冬道路として利用している.しかしサハ共和国は地球温暖化の影響を強く受ける地域のひとつで,IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第4 次報告書では今後100年間で5〜6℃の気温上昇が予測されており,この冬道路の利用可能性への影響が懸念される.本研究では,現地のヒアリング調査や冬道路を管理するための基準書を基に,サハ共和国における冬道路の建設,管理,利用の実態について明らかにした.次いで河川の氷と大気との間の熱のやり取りをモデル化し毎日の氷の厚さと積載可能重量の計算を行い,気温上昇が起きた時の使用可能日数を求めることにより,温暖化による冬道路への影響に関する分析を行った.
Vol.14 No.2 2011 Summer
(学術研究論文)クルーズ客船観光の特性と寄港地の魅力度評価の試み
−クルーズ客船旅客を対象とした階層分析法の適用−
執筆者:柴崎隆一、荒牧 健、加藤澄恵、米本 清
近年,世界のクルーズ人口は順調に増加しており,今後の団塊世代の大量退職に伴うマーケットの拡大や,運航頻度は低いものの,入港時の経済効果やブランド的価値は,地域経済の活性化策としても注目されている.本研究では,クルーズ客船寄港地の魅力度を定量的に評価することを目標として,旅客に対して実施したアンケート結果をもとに,クルーズ経験回数の違いによる旅客の嗜好を整理するとともに,階層分析法(AHP)による寄港地の魅力度の評価を行った.また,AHP の結果を利用し,より簡便に魅力度評価を行う方法を提案し,これに基づき国内外の港湾を対象として魅力度ランキングの作成を試みた.
Vol.14 No.2 2011 Summer
(学術研究論文)環境施策が都市交通システムのエネルギー効率性に与える影響の分析
−DEA(データ包絡分析)とMalmquist 指数によるアプローチ−
執筆者:吉野大介、藤原章正
世界各国で地球温暖化等の環境問題への対応の必要性が高まっている社会的背景のもと,各都市の運輸エネルギー消費構造の多様性を考慮した上で,実現可能な運輸エネルギー消費削減目標量を設定することは,環境的に持続可能な交通(EST)の実現において不可欠なプロセスである.本論文では,既存の環境効率性評価モデル(EE model)を活用することで,世界各都市の交通システムのエネルギー効率性を算出し,各都市の都市交通形態に適合した運輸エネルギー消費量の目標値を設定する.更に,DEA(データ包絡分析)及びMalmquist 指数を用いることで,エネルギー効率性の観点から各都市において環境負荷抑制を推進する上で効果的な環境施策のシナリオ設定方法の提案及びエネルギー効率性に与える影響の分析を行う.
Vol.14 No.2 2011 Summer
(報告論文)都市鉄道の遅延に対する利用者の認知状況と交通行動への影響
−東京圏を対象として−
執筆者:金子雄一郎、曽山禎彦、加藤浩徳
本論文は,都市鉄道の遅延に関する利用者の認知と行動への影響を調査し,その原因と政策への示唆とを検討するものである.まず,東京圏の鉄道利用者を対象に,日常的な鉄道遅延に対する意識と行動に関するアンケート調査を実施した.その結果,多くの利用者が短時間の遅延の頻発を認知していること,また,遅延を意識した行動をとっていることが分かった.次に,得られたデータを用いて切断回帰分析を実施し,乗車時刻,性別,遅延を意識した行動の有無などが到着余裕時間の影響要因であることを示した.最後にこれらから,効果的な遅延防止対策は,利用者の出発時刻の変化を通じて,人々の朝の余暇時間の増加に寄与する可能性を示した.
Vol.14 No.2 2011 Summer
(報告論文)モスクワ地下鉄の高頻度運行管理
−我が国首都圏鉄道における列車遅延対策への示唆−
執筆者:仮屋阜\司、日比野直彦
我が国の首都圏鉄道は輸送力増強や利便性向上のため,高密度ネットワーク,高頻度運行,相互直通運転等の施策を実施してきたが,その副作用として朝ラッシュ時に慢性的な列車遅延が発生し,新たな課題を抱えている.一方で世界屈指の輸送量を誇るモスクワ地下鉄は,遅延が問題化することなく90 秒間隔の高頻度運行を実現している.本報告では,まずモスクワ地下鉄の概況と現地調査に基づく列車運行の現状を報告し,旅客流動と列車走行の視点から,高頻度運行を可能とする施設や運行管理の実態と仕組みについて現状分析と考察を行う.最後にこれらの事例から,我が国首都圏鉄道の遅延解消に向けた施設整備および運行管理に対する示唆を述べる.
Vol.14 No.1 2011 Spring
(政策研究論文)英国と米国カリフォルニア州の交通計画体系における都市間交通と気候変動の考慮
執筆者:鈴木 温、泊 尚志、屋井鉄雄
近年,欧米諸国では気候変動問題に対応するため,交通計画体系の改善や気候変動の考慮を強化している.本研究では,英国と米国カリフォルニア州の交通計画体系における都市間交通の位置付けと,その中で気候変動への影響がどのように考慮されているかを把握した上で,都市間交通と気候変動の考慮の面から,今後の交通計画制度のあり方について考察を行った結果,1)複数の交通モードを統合した広域交通ネットワークの方針や計画の策定,2)法的な要求に基づく上位計画における気候変動への言及,3)環境影響評価手続きにおける気候変動考慮の義務化,4)分野間,地域間の責任や負担の分担の明確化等が必要であると示唆を得た.
Vol.14 No.1 2011 Spring
(報告論文)北東アジア−北米コンテナ航路の日本近海における通航海域の把握・分析
執筆者:赤倉康寛、竹村慎治
北米航路コンテナ船の最短ルートである日本海に近接しているとの優位性を踏まえ,日本海側拠点港湾の検討が開始されようとしている.しかし,これまで,日本海を通航した全てのコンテナ船を把握することは困難であったため,定量的に通航隻数を把握した統計データや研究は見当たらなかった.以上を踏まえ,本研究は,船舶動静データに,津軽・関門海峡におけるAIS(船舶自動識別装置)データを組み合わせることにより,北米航路コンテナ船の日本周辺での通航海域を把握・分析したものである.さらに,過去の通航海域についても推計を行った.
Vol.14 No.1 2011 Spring
(報告論文)重量貨物車の道路利用課金に関するユーロビニエット指令の動向と我が国への示唆
執筆者:西川了一、昆 信明
EUの成立により,国境を越えて通行する重量貨物車が増加し,通過国で燃料を購入しないことによる道路の整備費用負担の不公平が発生した.この問題に対処するため,EUは1999年に重量貨物車に課金する場合の基準(ユーロビニエット指令)を制定した.2006年から持続可能性の観点から外部費用に対して課金することが検討されていたが,2010年10月のEU閣僚理事会で,異論が大きかった混雑課金を除外し,騒音と大気汚染の費用をインフラ費用に加えて課金するという政治的な合意が成立した.この課金の考え方,水準,課金項目などから,現在再検討が必要な我が国の高速道路料金への示唆を得た.
Vol.14 No.1 2011 Spring
(報告論文)我が国における品目別の国際航空貨物動態
執筆者:田村幸士
航空貨物は,わが国の貿易を支える重要な手段である.一般に,時間要素を重視する高付加貨物は航空貨物としての適性が高いと言われている.しかし,海上貨物に比べて基礎的なデータが不足していることもあり,その動態は必ずしも十分に明らかにされているとは言えない.本稿の目的は,航空貨物が選択される理由を明らかにするための前提となる事実解明にある.貿易統計を利用し,いくつかの特定品目の航空化率,貨物量および平均単価の推移を経年で分析し,特徴的な動態を指摘する.

 

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