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バックナンバー <Vol.1>

Vol.1 No.003 1999 Winter
(研究)鉄道プロジェクトの費用対効果分析−実用化の系譜と課題
執筆者:岩倉成志、家田 仁
費用便益分析の実務的検討が,わが国で始まって約30年が経過した.この間,消費者余剰アプローチやヘドニックアプローチ,地域計量経済モデルなど,様々な手法が検討され,適用される一方,運輸省鉄道局は,プロジェクト審査を念頭に統一化した手法に基づくマニュアルの整備を必要とした.本論文は,鉄道プロジェクトを対象とした費用便益分析の実用化の動向に焦点を当てることで鉄道政策のレビューを行うとともに,より広義の費用対効果分析の政策導入の現状と今後の課題について整理することを目的とする.
Vol.1 No.003 1999 Winter
(研究)日米航空合意に至る米国の政策転換−米国の対日航空政策を巡る政治経済学−
執筆者:遠藤伸明、尾崎俊哉
本稿は,98年1月に妥結した日米航空交渉を巡り,完全なオープンスカイの実現という米国政府の当初の対日政策目標が,どのような過程を経て後退したかについて,米政府と航空業界の動きを政治経済学の視点から分析したものである.米政府の対日航空政策は,運輸省が独自に推進するものではなく,航空業界のその時々の意見に左右された.米国航空各社は,独自の判断で自社の立場を政府に働きかけており,その結果が政策の形成と転換につながったという結論が導かれた.ただし,政府は無原則に業界の代理人となるのではなく,市場における競争の確保を政府の役割とみなしていた.理論的には,米国内の政策過程における多元主義,国際交渉での2レベル・ゲームの有効性,及び現実主義を応用することの限界についても明らかとなった.
Vol.1 No.003 1999 Winter
(研究)高速鉄道建設投資と財源方式の日独比較研究
執筆者:アンドレア・オバーマウア
高速鉄道建設において,ドイツでは交通路整備に対する連邦の全面的な責任のもと,無利子貸付金及び補助金制度により整備期間の短縮が実現している.これに対し,日本では重要路線に関しては既に整備が終了したが,九州,四国そして北海道までの新幹線ネットワークの整備が遅れている.一つの理由は経済状況の悪化により財源確保が難しくなったことである.しかし日独における1km当たり建設費の差異を考慮すれば,日本における政府支出額は過少であると言える.道路に対する鉄道の環境優位性,また地域の経済発展への寄与という観点から,日本においても高速鉄道整備に関して政府が積極的な支援を行う必要がある.
Vol.1 No.003 1999 Winter
(研究)大都市圏の鉄道整備における公設民営による上下分離
執筆者:蓼沼慶正
現在,大都市圏の鉄道整備は,社会的に必要であるものであっても,十分に行われない環境にある.その理由として,鉄道整備には膨大な費用を必要とすること,また沿線自治体,既存鉄道事業者等,関係者間の利害調整に大きな労力を要することが挙げられる.本研究では,新しい鉄道整備方策の枠組みとして公設民営による上下分離方策を検討する.上下分離方策では公共的な保有主体が鉄道を整備,保有し,私企業たる輸送主体が市場性を持った輸送サービスを提供することにより,社会的に必要な鉄道サービスが効率的に提供されうる.本研究では,輸送主体の参入方式,及び運賃の決定方式等の上下分離の枠組みについて具体的に検討した.
Vol.1 No.003 1999 Winter
(報告) 道路投資の費用対効果分析
執筆者:奥平 聖
公共事業の効率化・透明化への要請の強まりの中で,建設省においては,平成9年度から道路事業の新規採択に当たって客観的評価指標による評価を行っており,その指標の一つとして費用対効果分析の結果を用いている.平成10年6月には道路投資の費用対効果分析の基本的な手法として「道路投資の評価に関する指針(案)」がとりまとめられた.その内容について概説するとともに,検討の過程等において課題とされた点について整理した.費用対効果分析も現時点においては絶対的な基準として採用できるほどの精度を持ちうる便益評価手法が確立されている訳ではない.分析事例の蓄積,研究上の進歩を踏まえ,改善の努力を続けていくことが求められる.

 

Vol.1 No.002 1998 Autumn
(研究)大型コンテナ船に対応した埠頭整備の経済効果の推定
執筆者:岡本直久、佐藤孝夫
公共投資の効率性改善への要請が高まり、港湾をはじめ、あらゆる交通施設など、社会資本整備に対する費用対効果分析の適用が求められている.しかしながらコンテナ港湾が存在することによって生じる経済効果を計量的に評価し、その存在意義や投資妥当性を論じた研究事例は少ない.本研究では、便益帰着構成表の考え方に基づいて、コンテナ港湾の機能強化がもたらす効果を、港湾に直接関わる企業及び個人のみならず、地域経済、国民経済の観点から示すことのできる評価手法を提案する.さらにケーススタディ分析に基づいて、国際中枢コンテナ港湾における大水深埠頭整備の必要性を論じる.
Vol.1 No.002 1998 Autumn
(研究)国鉄の通勤輸送力増強投資の事後評価−東京圏の五方面作戦について−
執筆者:蓼沼慶正
本研究では、国鉄時代に行われた投資のうち、東京圏における放射路線の通勤輸送力増強投資(通称「五方面作戦」)を対象として投資の効果を評価した.東京圏の各市区町村の人口密度と主従業地までの一般化費用との関係を表すモデルを作成し、そのモデルに基づき五方面作戦が行われなかった場合の東京圏の人口分布及び輸送量を算出し、五方面作戦の利用者便益の算出及び財務評価を行った.本研究の結論として、五方面作戦は大きな利用者便益をもたらし、また鉄道事業者の経営的にも良好な結果をもたらした、ということが得られた.
Vol.1 No.002 1998 Autumn
(報告)英国鉄道の技術的コントロールと規制緩和時代における技術行政の役割
執筆者:家田 仁
交通事業においては、環境保全、安全性確保、消費者保護など、種々の視点に立った技術的コントロールが必要である.しかし、これらも現代の規制緩和時代には、民間事業者の創意と活発な経営を促すよう、効率的で効果的な方式によって進めることが不可欠である.現在、わが国の鉄道でも新たな技術的コントロールの体系の創設が検討されていることを踏まえ、本稿では、英国の鉄道を対象として、Safety Caseの制度や自己責任制を基礎とした技術基準など、特色にあふれた技術的コントロール制度を調査分析した.さらに、その底流にある英米型の経験主義哲学的なものの考え方と、規制緩和時代における技術的コントロールのあり方を考察した.
Vol.1 No.002 1998 Autumn
(報告)ドイツと日本の都市における旅客輸送に関する交通機関選択の比較
執筆者:ハンス-ゲオルグ レツコ
本稿では、ドイツと日本の都市における旅客輸送の交通機関分担の比較を行った.日本における機関分担の特徴としては(1)全体の傾向として、自動車やオートバイ等の動力化された個人輸送(MIV)の割合が年々増加し、公共近距離旅客輸送(OPNV)と徒歩の割合が減少してきている、(3)大都市では、OPNVの割合が高く、その他の都市ではMIVの割合が高い、(4)日祭日にはMIVの割合は平日に比べ高くなっている、といったことがあげられる.ドイツと日本の機関分担を比較すると、平均的にはその傾向はよく似ている.また、両国とも都市の人口とOPNVの割合には相関があり、その相関関係は、日本の方がドイツより高いこともわかった.

 

Vol.1 No.001 1998 Summer
(研究)途上国大都市の交通公害の診断と対策立案のための支援システム
執筆者:表 明榮、加藤 博和、林 良嗣、中村 英夫
開発途上国大都市では交通公害問題が顕在化しており、その対策立案及び実施は急務である.しかし、交通公害の発生から波及までのプロセスが広い分野に及ぶ上に、対策の効果影響発生メカニズムが複雑なことから、総合的・包括的な対策立案が困難であった.そこで、交通公害の調査・診断及び対策立案のプロセスを「人間ドック」のアナロジーとして整理するとともに、調査マニュアルや既往対策事例に関する知識データベースを組み合わせたGUI型エキスパート・システムとして、支援システムを構築した.このシステムにより、途上国の交通及び環境専門家にとって、より簡便・システマティックに現状診断と対策立案が可能となった.
Vol.1 No.001 1998 Summer
(研究)観光地の魅力度評価−魅力ある国内観光地の整備に向けて−
執筆者:室谷 正裕
国内観光の停滞が懸念されている中で国内観光地自体の魅力を高めていくことの必要が指摘されている.本研究は、その際、不可欠の前提となる観光地魅力の現状についての客観的な評価手法を開発しようとするものである.
そのため、内外の評価事例のレビューや観光に対する志向のトレンド分析等を行った上で、評価の構造を(1)賦存資源(2)活動メニュー(3)宿泊施設(4)空間快適性の4つの大項目と資源性、多様性等10の小項目からなる階層構造として体系化した.
次に、同モデルを用いて全国の主要な観光地の魅力度評価を行い、各観光地間のポジショニングと魅力の特徴を明らかにするとともに、観光地のタイプ別の分析、海外の観光地との比較等を通じ、景観対策など面的・空間的整備の必要性等に今後の魅力ある観光地づくりについていくつか提言を行った.
Vol.1 No.001 1998 Summer
(研究)航空下部構造(空港・管制)市場化の流れ-イギリス、オーストラリア、ニュージーランドを中心に-
執筆者:中条 潮、伊藤規子
本稿は英国とオーストラリアの空港民営化およびニュージーランドの管制の公有商業会社化を紹介することによって、航空下部構造の民営化・商業会社化が価格の低下と投資の拡大を含む良好な成果をもたらすと考えられることを示す.また、民営化・商業会社化を日本で実行するためには、内部補助システムを排除し、思い切った規制緩和を実行し、経営の自由度を保証することが必要であることを述べる.
Vol.1 No.001 1998 Summer
(研究)鉄道事業の生産性分析と運賃規制への示唆
執筆者:井口典夫
本論文では、まず総要素生産性の考え方を用いて、わが国の鉄道事業の生産性を実際に計測する.その結果、適切な経営方策によれば、鉄道事業の生産性も着実に伸ばし得ることなどが確認される.次に、生産性の計測値を運賃に反映させる仕組みとしてのプライスキャップ方式を取り上げ、その実現可能性について検討を加える.特に大手私鉄については、一定の条件が整えば実現可能性も少なくないことが示されるが、一方で運賃規制は各社の直面する市場の特性に依拠すべきとの原理原則が提示される.この段階で、規模の経済の値を実測し、鉄道市場の地域独占的傾向に既に変化の兆しのあることなどが紹介される.さらに運賃規制については、各社・各路線別に異なる方式を適用することも検討する価値があるとの主張がなされる.
Vol.1 No.001 1998 Summer
(研究)自動車交通による外部不経済抑制策の国民経済的評価- 静学的応用一般均衡(CGE)と動学的応用一般均衡(DCGE) の比較分析 -
執筆者:上田孝行、武藤慎一、森杉壽芳
自動車交通に起因する外部不経済の抑制策は、外部不経済の抑制には効果のある反面、市場経済には負の影響を与えるとの問題がある.そこで本研究では、外部不経済抑制策を総合的に評価するために、応用一般均衡理論に基づく社会経済モデルを用いた政策評価の方法論を提案する.特に本稿では、静学的応用一般均衡(CGE)モデルと動学的応用一般均衡(DCGE)モデルによる政策評価の比較分析を行なった.そして、各モデルの長所と短所を考慮に入れた上で、いくつかの政策について有効性の検討を行った.
Vol.1 No.001 1998 Summer
(報告)短期運輸経済の見通し
執筆者:小林良邦
開発整備中の短期運輸経済予測モデルを用いて、98年度の経済・運輸需要を連動的に予測した.昨年5月頃から不況局面にあるわが国経済は、4月の経済対策の効果を織り込んで1.3%程度の成長になるとみられるが、公的投資を除く各需要項目は総じて低調に推移すると見込まれ本格的な経済回復には時間を要する.97年度のマイナス経済成長(実績見込み)のもとで低調であった貨物・旅客輸送需要は、98年度には総貨物輸送が増加に転じるなど多少の回復をみせよう.すなわち、総貨物輸送トンは97年度実績見込みの2.2%減から98年度は1.4%増の67.4億トンへ、総旅客輸送需要は同0.1%増から98年度は0.5%増の848億人程度となろう.

 

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